2017年07月02日

不思議な体験〜匂い

人は誰しも、多かれ少なかれ、「不思議なこと」を体験したことがあると思う。私が体験した「不思議なこと」は「匂い」にまつわることだった。

あれは母が亡くなってそんなに経ってなかった頃だと思う。正確には覚えていない。勤務先の大学の研究室(自分の個室)で仕事をしていると学科の学生がドアのノックして部屋に入ってきた。入ってきた途端、「わあ!この部屋、いい匂いがしますね〜!」と言った。お香の残り香かな?と思ったが、ちょっと意外だった。時々研究室でお香を焚いていたけど、その日は焚いていなかったから。学生は旅行から帰ってきたので、学科の教員にお土産のお菓子を配っていたようだった。ところでこの学生が誰だったかは今もはっきり覚えていて、実はファイスブックで繋がってる。本人は全く覚えてないと思うけど。

少しして、今度は学科の事務の若い女性が何かの用事でやはりドアのノックしてから部屋に入っていた。彼女は言った。「わあ!!この部屋、すごくいい匂いがしますね!」
お香の匂いがそんなに残っているのかな。ちょっと不思議に思いながら、その後、お手洗いに行くために一度部屋を出た。お手洗いを済ませて自分の研究室のドアを開け部屋に一歩入った時、私の足が止まった。
部屋中に、むせかえるような、柑橘の香りが漂っていた。新鮮なミカンを剥いて潰して果汁がぷしゃあ、と出た時のような、そんな香り。
部屋の中にミカンなんてないのに。なんでこんなに強いむせかえるような柑橘の香りがするのか。なんで?なんで?部屋の中に足を進めて立ち尽くし、しばし考えた。なんで?なんで?

あ。

閃くことがあった。

私は当時父が一人で暮らしていた北海道の実家に電話した。
プッシュホンを押しながらドキドキした。そして聞いた。
「お父さん、今日、お仏壇に何をお供えしてるの?」
母が亡くなってしばらくの間、父は仏壇に供え物を欠かさなかった。
「あ〜、今日はなあ、さっきデコポン買ってきたからそれお供えしたんだわ〜(北海道弁)。」

ああ。

軽い戦慄を覚えた。

そうなのか。
そうなのか?そうなのか??

私は研究室の中に立ち込めている匂いを体験するに至ったことについて、一気に父に話した。
父は「そうか。。。そうか。。。」と言葉少なになんだか納得していた。母の生前には、そのテのことを全く信じていなかった父だが、変われば変わるものである。

デコポンは、熊本の名産の柑橘だ。今ではどこでもそれほど珍しくないと思うが、当時の北海道ではまだちょっと珍しくて、ちょうど流通し始めた頃だったのだと思う。娘が熊本に住むようになったから、というきっかけと理由で、私の母はデコポンを見るとよく買っていた。「デコポンが売ってたんだよ。熊本のだよ」と。「可愛いよね。美味しいしね。剥きやすいし」と。

父はあっさり納得していたが、私は、閃きはしたものの、納得と「まさかそんなことが」という気持ちがないまぜになって、電話を切った後も少し混乱していた。

でも実は、ちょっと違うけどやっぱり「不思議な」匂いはその前にも経験していて、それもかなりはっきりとした「匂い」の体験だった。ちなみに、それは柑橘の匂いじゃなくて、甘い花のような匂い。でも、その時は母が亡くなってもっと間もない時だったせいか、逆によく分かんなくて、分かんないまま心の隅に流しておいた。
そしてこのデコポン(の匂い)体験の後、何度も不思議な匂いの体験をして、その中の一つはやはり自分以外の人も関わっている強烈なものであった。そして、そうなのか??そうなのか?がそういうこともあるのかな。。(?)になったけれど、今でもやっぱり「不思議なこと」だと思っている。

そしていつの間にか、私は「匂い」を感じなくなった。
今は全然「匂い」を感じない。

一時あんなにも感じた「匂い」をもう全然感じない。

これもやっぱり不思議と言えば、不思議だ。



posted by coach_izumi at 01:56| Slices of My Lifeー徒然ノート