以下、4年前に書いた記事です。
4年前に自分が書いた記事を自分で読んで、今も同じように思います。
この頃に比べて、今は「よし、ここで中断せねば」とか構えることがほぼ無しに、フツーに「中断」できるようになってはいますが。
コーチングというものが4年前よりも浸透し、コーチングに対する理解も、誤解も、コーチの選択肢も増えたように思います。
私はこの4年の間に「結局は私という人間(との時間)を買ってもらっているんだなあ」という思いを強く持つようになりました。そういう思いもあって、最近はコーチング云々そのものよりも、自分のありのままの暮らしや思いや感情について記事にすることが増えていました。
が、コーチングをしている時の私は、やっぱり私という人間がそのまんま出ちゃってはいるものの(どうも隠せないらしい。汗)、ちゃんと訓練を受けたプロでもあるしそうでなければいけないのであって、「人の話をただ聴いてるだけ」ではありません。
ということを改めて発信していこうと思い立ち、最近になってから私のブログを読むようになってくれた方もいるので、4年前に記事「中断」を再掲します。これからも過去の、特にコーチングスキルに関する記事を、(そのままか何らかの編集を経てかは場合によりますが)再掲しようと思っています(その際は再掲/編集の旨を記載します)。
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「人の話をただ聴いてお金もらえるなんて、いい仕事だね〜」と言われたことあります^^;;
確かにコーチングの大きな部分は人様のお話を聴くことです。
でも、コーチは「ただ聴く」ということはしません。
コーチの「聴き方」は非常に能動的。
コーチとしてクライアントさんの話を「聴く」ためには、日常生活の中では使わない筋肉というか、高い集中力が必要です。
私はコーチングの前には瞑想などしてそれこそ「精神統一」(笑)的なことをしますし、一回のセッションが終わった後は、それは心地よい疲れであることが多いですが、「ぐったり」することが多々あります(笑)。
そんな「傾聴」はコーチングの基本中の基本。いろはの「い」ってやつです。
ただ、実は時にコーチはクライアントの話をあえて「中断」します。
そしてこれは重要なコーチング・スキルのひとつで、能動的に集中してクライアントさんのお話を「聴く」からこその、スキルです。
日常生活の会話の中にもあることだと思いますが、クライアントさんが、ポイントのない話をいつまでも繰り返してしまう、いわゆる「ぐるぐる」してしまう、という時があります。なにかにどんづまった時、にっちもさっちもいかないように感じる時、自分でも状況の整理がつかない時、どうしたいのかすら分からない時・・・などなど、色々なパターンがありますが、なんにせよ、迷路に迷い込んで出口のない感じ。
そういう時、「ただ聴く」ということは、その「ぐるぐる」にひたすらつきあってクライアントさんと一緒にいつまでもぐるぐるすることを招きがちです。
お友達同士でお話を「ただ聴く」のなら、それもまたよし、だと思いますが、まがりなりもお金をいただいてコーチングさせていただくからには、それではいかんのです。
今このクライアントさんは「ぐるぐる」する必要があるんだな、とある種の直感で感じるという場合は別として、コーチはこの「ぐるぐる」を断ち切ってクライアントさんがこの迷路から出て別の場所行く事ができるように誘います。
それが「中断」のスキルです。
「なんかぐるぐるしちゃってるから、ちょっとお話を中断させてください」なんてかなりダイレクトに中断して「で、ほんとにしたいことは何?」なんて感じの質問をすることもあります。
でももっとソフトな感じで「今までお話してくれたことを、ここで振り返るとどんな感じですか?」とか(これ、少し「俯瞰」のスキルが入ってますが)、「そういうすごく嫌な体験から、もし何か得ることがあったとしたら何でしょうね?」などと質問して、話の方向をちょっとずらす、なんてこともあります。
あと、「なんだかいつよりも話すスピードが早くなってますね〜」などと「反映」のスキルを使ってクライアントさんの「ぐるぐる」を「中断」することもあります。
するとクライアントさんは私の質問に応えようとして、つと止まって考えるので、「ぐるぐる」思考がいったん中断されます。「ぐるぐる」思考のパワーの源は「ぐるぐる」とした動きそのものなのだったりするので、一度「止まる」ことは効果があるのです。
中断されることによって、クライアントさんは、同じ状況に対してであっても、別の見方や感じ方を持つ事ができるようになって、そのことが迷路から出るきっかけとなったり、あるいは、迷路が迷路じゃなくなったりします。
なんか出口を探してあせってたなあ、ちょっと止まって作戦を練ってみよう、とか、ぐるぐる迷路をただ歩くんじゃなくて、この壁を壊してでちゃえば良いんだ、とか、いつまでも迷路を歩き続けないで、ジャンプして出ちゃおう、とか、穴を掘って出ちゃおう、とか、誰かに上からロープを下ろしてもらおう、とか、迷路の外にも聞こえるように大きな声で助けを呼ぼうとか。
あるいは、じゃあ、しばらくここで昼寝でもしようか、とか。この迷路(に見えた場所)でたき火をして他にも迷っている(と思えた)人たちを誘ってゆっくり話でもしようか、とか。
コーチングを始めたばかりの頃は、かなり直接的な「中断」にしろソフトな「中断」にしろ、クライアントさんのお話の「腰を折る」勇気がなかなか出ませんでした。
だからひたすら一生懸命クライアントさんのお話を「傾聴」しているのですが、「傾聴しちゃってます」という感じ。いわば「ただ聴く」状況に陥って、クライアントさんと一緒にいつまでもぐるぐるしてどこにもいかない・・・という失敗、ありました。
だって、ねえ。話を聴くのがお仕事なのに、そのお話を中断するなんて・・・自分だって話ているときに中断されたら嫌だし・・・
でも、その「恐れ」は実は自分のためなんです。「クライアントさんの気分を損ねたくないな〜・・・」みたいな。
何がクライアントさんにとって利益となるのか、を本当に考えることができれば、たとえそのときにクライアントさんの気分を損ねようがなんだろうが、コーチは腹を据えて「中断」するのです。もちろん、ケース・バイ・ケースで、時に注意深く、時に大胆に、ではありますが。
だから、クライアントさんが「えっっ」と思うような直接的な中断もあれば、クライアントさん自身が中断されていると気がつかないような中断もあります。
どちらの場合にせよ、肝要なのは、コーチが「自分が何をしているか分かってやっている」ということです。
そして、自分自身のクライアントとしての体験、コーチとしての体験を積んできて学んだことは、クライアント(さん)は実は「中断」して欲しいことが多いんです。ぐるぐる、したくないから、コーチング受けてるんだしね。
2018年01月14日
中断(再掲)
posted by coach_izumi at 04:36| Coaching Skillsーコーチングの技術