私「ねー 聞いてよ、今日さー」
夫「・・・(コンピューターに向かいながら聞いてる)」
私「○○さんがさー」
夫「・・・(コンピューターに向かってるけど聞いてる)」
私「〜〜〜なこと言うんだよー」
夫「ふーん(コンピューターを打ってるけど聞いてる)」
私「ねー 聞いてないでしょ???」
夫「聞いてるよ(聞いてるし)」
私「いや、聞いてないじゃん!」
夫「聞いてるって」
私「聞いてるように見えないよ!(実際に聞いてたかどうか、もはや関係ないし)」
・・というような会話、単純化しすぎとも言えないと思うのです。そして「夫」と「私」が入れ替わることだってあると思うのです。我々大人は忙しい。マルチタスクで様々なことをこなさないといけない中で、誰かの話を−それが特に雑多なタスクで溢れかえる日々を共に過ごしている家族であれば余計に−ただ「聞く」のではなくて「聴く」のは、簡単じゃないのです。誰かを「聴く」こと、そして誰かに「聴いて」もらうこと、は、とても貴重な時間そして体験です。コーチングではこの「聴く」を、心だけでなくスキルでもって提供します。
以下、「聴く」と深く関わるコーチングの技術「反映」について私自身が4年前に書いた記事の再掲です。
・・・4年経っても、あんまり家族に対してちゃんと「聴いて」あげてないなあ・・・とちょっと反省f^^;
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コーチングには様々なスキルがありますが、「反映」はその中でも最も基本的なもののひとつです。「反映」をしている時、コーチは視覚や聴覚や直感などを使って、クライアントさんの姿を映し出す「鏡」のようになります。
例を挙げると(あくまで例です)、分かりやすいところでは、クライアントさんが言った言葉を繰り返す。例えば「すっごく辛いんです」とクライアントさんが言ったら「すっごく辛いんですね」と繰り返す。話す口調が早くなったり、声のトーンが上がったりしたら「話す口調が早くなっていますね」「声のトーンが上がっていますね」と言う。視覚的なところでは、クライアントさんがうなづきを繰り返したとしたら「今、うなづきを繰り返しましたね」と述べる。もっと直感的というか、全体的なところでは、「なんかさきほどと比べて軽い感じになってますね」とか「のどがつまってる感じですね」などと言う。流れによって、ですが、「反映」をしたあとに「これはどういうことなんでしょうか?」とか「・・・ということは、今、あなたに何が起こっているんでしょうか?」と尋ねたりします。
もちろん、「反映」が常に有効に機能するわけではありません。ただ、私の経験では、有効に機能する場合がとても多いです。コーチが「反映」をすると、クライアントさんは「コーチが自分のことをしっかり見て聴いていてくれている」と分かるので、自分を尊重してくれている、と感じることもとても大事な作用なのですが、さらに大事なこととして、クライアントさんがその「反映」の中に自分自身の姿を見ることができる、ということがあります。
非常に多くの場合、クライアントさん自身は自分がどういう状態にあるか、どういう言葉を口にしているのか、はっきりと意識していません。全く気がついていない場合も多々あります。コーチが「反映」をすると、「え、そんなに早口ですか?」「本当ですか?(嫌だなor嬉しいな)」「ああ、そういえば・・・」といった反応をクライアントさんがすることはしばしばあります。そして、「今、自分には何が起こっているのだろう」「どうして自分はあのように言ったのだろう」「そういえば確かに声がうわずってるなあ・・・あせってるのかな」などなど、クライアントさん自身の言動や状態をコーチが「映し出す」ことによって、クライアントさんは自分自身の姿をいわば客観的に、少し離れて見ることができるようになります。そしてこのことこそが、クライアントさんが抱えている問題や課題がどのようなものであれ、今いる場所から先に進んだり今の状態から変化するための、最初の大きな一歩となります。
この「反映」を行うときに大事なポイントは、そこにコーチの「分析」や「判断」を入れずに、あくまで「鏡」として振る舞う、ということです。「明るいから『望ましい状態にある』」、とか、「口調が早いから『少し落ちついた方が良い』」とか、そういう「分析」や「判断」をしないでただただ五感(時には第六感も)を使って、クライアントさんを見て聴いて感じて、見て聴いて感じたことだけを述べることが肝要です。答えはクライアントさんが持っている(あるいは見つけ出す)わけですから、どのような状態であれそのことに関して分析や判断(そして解決策を見つけ出すこと)をするのはクライアントさんであって、コーチのすることではないのです。そういったことはむしろクライアントさん自身が持つ「力」を発揮することの妨げとなります。
・・・ただし、日常の生活になると、これが結構難しい(笑)!これはあくまで私の場合ですが、「反映」を適切に行うには訓練と集中力が必要です。コーチとしてコーチングをしている以外の時間(例えば夫や子供と話している時間など)は、当然ですがそれほど「集中」していないので、ついつい「ほらほら、そんなぶーたれた顔してないで、にこにこしなさい!」なんて、言っちゃうんですよね・・・当然こういう場合は、良い結果に結びつきません・・・^^;;
2018年01月25日
「反映」(再掲)
posted by coach_izumi at 23:51| Coaching Skillsーコーチングの技術