2014年07月30日

「その人すべてに焦点を当てる」

私が学んできた「コーアクティブ・コーチング(Co-Active Coaching)と言われる流派(?)には「4つの礎」と言われるがものがあり、そのひとつが「その人すべてに焦点を当てる」です。以下は、私たちCPCC(=Certified Professional Co-Active Coach=認定プロ・コーアクティブ・コーチ)らにとってはまさに「バイブル」である「コーチング・バイブル」という本に書かれている文言そのままですが(ちなみに第三版の23ページです)、この礎を言い換えるとこういうことになると思います。

「コーチが向きあっているのは解決すべき問題ではなく、一人の人間です。」

え、コーチングって問題は解決してくれないの?と思う方がいらっしゃるかもしれません。解決しないわけではないのですが、問題の解決は、「一人の人間に向き合った」結果として(そしてその結果として初めて)訪れる、というのが私の解釈です。逆に、問題だけに向き合ってそれを解決しようとやっきになってもその「問題」は解決しない。一見解決したように見えても、その人すべてに焦点をあてない限り(そして「本質的な変化」が呼び起こされない限り=これも礎のひとつなのですが、今回は触れるだけに留めます。)、結局同じ「問題」が繰り返し起こる、ということになります。

例えばクライアントさんの「テーマ」として「やることが多すぎる/優先順位をはっきりさせたい/タイムマネジメントを上手くやりたい」などという感じのことが挙ってきた場合。

「やるべきこと」「やりたいこと」を整理して、なんらかの基準を明確にして、優先順位をつける、とか、自分ですること、人に頼むことを選り分ける、とか、一日のタイムテーブルを書き出して無駄な時間を洗い出すとか・・・そういうことも、とても大事だと思いますし、有効だと思います。

でも、ちょっと待って。

「やることが多すぎる/優先順位をはっきりさせたい/タイムマネジメントを上手くやりたい」などという感じのことがテーマになる時って。

「問題」ではなく「一人の人間」に向き合うと、一見同じ「問題」でも、「ほんとうに何が起こっているか」は全く違ったりするんですよ。

考えられるケースで両極端なものを挙げると(とは言うものの、どちらの場合も似たようなケースを私のコーチング・セッションで経験してますが。)ひとつは、

「将来への夢が大きくて野心も大きくて、あれもこれも達成したい!だから、ああ、やりたいこともやるべきことも多すぎて、困る〜、時間ない〜〜」って場合。

もうひとつのケースとしては、

「組織でこき使われて毎日仕事をこなすが精一杯。いきあたりばったりでもなんとかやりとげないといけないことに日々追われて、先のヴィジョンを描けないしそんな暇もない。休みたいけど、とっても休めない・・・」

というような場合。

この二人、全く違う状況にいますよね。

でも、テーマとして「やることが多すぎる/優先順位をはっきりさせたい/タイムマネジメントを上手くやりたい」という一見同じ「問題」が挙ってくることって十分あり得るんですよ。とうか、よくあります。

「一人の人間」を見ることなしに、この「問題」だけを「解決」しようとしても、うまくいかない・・・というのが、分かっていただけるでしょうか。

たとえ最終的なアクションプランとして「やるべきこと」「やりたいこと」を整理して、なんらかの基準を明確にして、優先順位をつける、とか、自分ですること、人に頼むことを選り分ける、とか、一日のタイムテーブルを書き出して無駄な時間を洗い出すとか(上記のコピペです。笑)、そういうことをすることになるとしても、

前者と後者のケースでは、そこにいたるまでのプロセスが全く違うのです。そしてそれぞれの「問題」だけではなくて「人間」に向き合った上でセッションを行わなければ、上記のアクションプランは、おそらくは、「絵に描いた餅」になります。

一見「正しい」と思われる解決策であっても、それは「問題」のための「解決策」であって、その「人間」の魂に響いたものとならないからです。


英語が話せるようになりたい!みたいな場合にも当てはまりますが、ちょろっと表面的な部分をマニュアル通りにやって即解決!はい、できました!みたいなことは、ないです。もちろん、たった一回のセッションがきっかけとなって、人生が劇的に変わる、なんてこと、ありますよ。あります。でも、それはその前と後に、そのセッションの前と後に、ちゃんとその人の中で準備ができていたり、行動力があったりするからです。

ここまで書いて、「その人すべてに焦点を当てる」って、「急がば回れ」ってことともある意味同義?なんて思ってます。

あえて言います。
私と一回セッションして今抱えている問題を即解決したい、と思うならば。
ごめんなさい。お互いの時間の無駄となります。

私と一緒にあえて「急がば回れ」をしてみたい方。
私と一緒に「一人の人間と向き合う」とはどういうことなのか、感じて体験してみたい方(この「一人の人間」とは、あなた自身のことですが、コーチの私自身のことも入ると思います)。

お気軽に、サンプルからどうぞ。

そのあと、コーチング・パートナーシップにつながらなくても、全く問題ありません。

袖振り合うも多生の縁。

その出会いは、きっとあなたと私の何かにつながるから(てか、別につながらなくても、面白かったり深かったりする時間を共有できたらそれでいいしね^^)。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最後の方でクライアント募集、みたいな文章になってしまったので(笑)、この場を借りて、8月始まりのクライアントさん3名まで募集します。

英語×コーチング、通常の日本語コーチング、どちらでも可能です。
また、ご要望に応じてミックスすることも可能です。詳細についてはお問い合わせください。

料金については、私のHPをご覧下さい(ブログから飛べます)。
HPには未記載なのですが、英語コーチングのセッションの場合は3回(各1時間)で¥35,000のパッケージがあります。







posted by coach_izumi at 09:06| Coaching Skillsーコーチングの技術

2014年07月13日

価値観を探ると

あなたは自分がいつかこの世を去ったあと、どんな人だった、と言ってもらいたいですか?そして誰にそれを言ってもらいたいですか?

自分の子供に「やさしいお母さんだった」と言ってもらいたいですか?会社の部下たちに「素晴らしいリーダーだった」と言ってもらいたいですか?昔の恋人に「本当はあなたと人生を歩みたかった」と言ってもらいたいですか?数多くの友人に「一緒にいて楽しかった」と言ってもらいたいですか?ニュースにとりあげられて「偉大な指導者がこの世を去った」と言ってもらいたいですか?
それとも誰に何を言われようが全くかまわない、ですか?

少しだけ一人の時間を確保して、目を閉じ、深呼吸して、想像してみてください。

私たちはいつか必ずこの世を去る。そして残された人たちがあなたをしのんで集う時。彼らはあなたについて、どんなことをどんな風に語り合うでしょうか。彼らが「XXさんって、・・・な人だったよね〜」と言う時、・・・にはどんな言葉が入るといいな、と思いますか?

この・・・にはあなたがあなた自身に願う姿、あなたの価値観(の一面)が表れます。あなたが、ほんとうは、どんな人生を送りたいのか、浮き彫りになります。

価値観を探るワークは色々ありますが、この「あなたが死んだ後、どんな人だったと言われたい?」は、比較的お手軽にできてかつ的確に価値観を探り出すことのできるワークだと思います。

私はコーチング・パートナーシップの初期(の導入セッション)に行うことが多いですが、場合に応じていつやってみてもいいものだと思います。

今のあなたの姿が、ここに出てくる「・・・な人だった」と同じ、近い、あるいは親和性がある、という場合、いろいろな大変なことや辛いことがあったとしても、あなたの生活や人生が生き生きと充実しているものである(あるいはそうなる)可能性が高いと思います。

逆に、一見申し分のない、人からうらやまれるような恵まれた生活を送っていたのとしても、今のあなたの姿がこの「・・・な人だった」の「・・・」から遠い場合、きっと、あなたは、苦しい。

そしてこれからあなたが何かの選択をする時。
その選択をするあなたは、あるいはその選択をしたあとのあなたの姿は、この「・・・な人だった」に沿ってますか?乖離してますか?
ここを判断基準にすると、その結果どう転んでも、きっと納得できるんじゃないかな、と思います。


***で、ここからは「私」のことです(笑)。

先日、新規のクライアントさんにこのワークを行ったのですが、そのセッションを終えて、じゃあ、今の自分は、自分の死後、誰にどんな人だった、って言われたいと思っているんだろう?と自分のことが気になりました。すなわち、今の自分にとって大事なことは、なんぞや??ということがふと、気になったのです。

で、ちょっと想像してみました。

私は今のところ長生きするつもりなので(笑)友人の多くはもう先に逝ってるってことなんでしょうか。今周りにいる人間のほとんどは−親友も夫も含めて−(笑)そこにはいませんでした。

はっきり見えたのは今の顔のまま(笑)背が大きくなってる息子の姿、そして顔が分からない、私よりも若い人たち。

そして息子がこう言ってました。
「お母さんって、いっつも楽しそうだった。一緒にお酒を飲むとめちゃめちゃ愉快だった。そして、すごく、勇気のある人だった。」

なるほど。
前に同じワークをしたときと、ちょっと違うなあ。とにかく、これが現在の私が「こうありたい」と思っている自分の姿なのね。そして価値観なのね。つまり、こういうことを大事だと思っている。

楽しそうにしている(全く同じじゃないけどイコール、楽しくしている)こと。
一緒にいて愉快な人間であること(特にお酒を一緒に飲んだ時。笑)
勇気があること。

そして私はセルフチェック・モードに入ってしまいました。

今の自分はいっつも楽しそうかな?楽しくしてるかな?
う〜ん、△。けっこういらいらすることあるし、チャンスを楽しむよりもプレッシャーに感じることの方がまだまだ多いしなあ。→もっと「楽しむ」ことに、心向けたい!!それ、意識してみよ〜。

私は一緒にいて愉快な人間?特にお酒を一緒に飲む時?
う〜ん、普段はあんまり人と一緒にお酒飲む機会がないんだよね〜(ということを残念に思っている自分に気がつく。笑)。だいたい息子はまだ飲めないし(当たり前)。サービス精神は結構あるかしらん?でも、一緒にいる人が心地よいとか愉快に感じるとか、それがどういうことなのかとか、そこまで深く考えたことないよね〜・・・・もっと相手のことを考える、っていうことに心を向けると、どんなことが起こってくるかな〜・・・

勇気。勇気。勇気ねえ。多分、けっこうあると思う。周りからもそう見えるんじゃないかな。
でも、ほら、今やろうと思ってる「あれ」。あれ。あれ、なかなか一歩が踏み出せないんだよね。あの人に連絡とろうとろうと思いながら、なかなか・・・だって嫌な顔されたら嫌だしなあ。
そう、「勇気」が出ないんだよね〜、実は。
でもさ、ここで勇気出さないと、ずっとうじうじしちゃうよね〜。それに後で後悔するだろうなあ。かなり。そして、たとえ失敗したって、後悔はしないだろうね。勇気を出したのなら。
だって。

「勇気」は、私にとっては、大切なことなんだから。

あああ。どうしよう、分かっちゃったよ。勇気を振り絞って「あの」ことをしないと、すごく自分で嫌だってことが。するのも嫌だけど、やらないともっと嫌ってことよね。はあ。
(じゃあ、やってみるしかないじゃんか〜・・・・・!!)

と、若干自分で自分を追いつめるハメになってしまったのが、おかしいのですが、こんな感じで、一人コーチング(あ、こういうのをセルフ・コーチング、と言いますが)をいつの間にかしてしまいました。

だから「あれ」、来週中にやってみようかと思ってます。


***で、最後にまたちょっと脱線するんですが、もうひとつ腑に落ちたことがあったのでした(文、長いよっっ)。
息子が私に何かメッセージを書く機会があるとき(こっちの学校は結構多い)、よく「お母さん、毎日お料理してくれてありがとう」って書くんですよね。判で押したように(笑)。そりゃ、ありがとうって言われて嬉しいけど、「え、お前にとっての私って、“お料理するひと”なの?」と思って、なんかがくっとした(笑)ことが、1度や2度じゃなくてあるんです。他になんか、ないんかい?みたいに。で、一度「ママはすごくおもしろいです」みたいなことを作文で書いていたことがあって、そっちの方が、実はよっぽど嬉しかったんですよね。

もちろん母親なんで日々彼のために今は料理してて、それは当然の責任だとは思ってるし感謝されれば嬉しいけど、そこ、私の人生にとってそんなに大事なことじゃない、って、このセルフ・ワークをしてみて、気がついてしまった!!(やばい。笑)

私が死んだ後、息子に「ママが毎日ぼくのために料理してくれたこと感謝してる」なんて、別に言われたくないよ、って思いました。そんなん、どうでもいいわい。むしろ私は、彼に、「ママって、楽しくって、おもしろくって、勇気のある人だった」って、言われたいよ、って、気がついてしまった(笑)。
(あ、ちなみに、別にお笑い芸人風の面白いヒトになりたいわけじゃないですよ、私。オモシロイ人生を歩みたいなと思っていることが分かった、ということです。)


ん?てことで、今日のごはん、ちょっと手を抜いても、いいんじゃないの?・・・だって私の価値観的にそんなに大切じゃないんだから、というのが、今日のブログの結論???(違うって)





posted by coach_izumi at 23:58| Coaching Skillsーコーチングの技術

2014年06月08日

自己管理と和泉節

これまでセッションをさせていただいたクライアントさんはには、20代、30代、40代、50代、と幅広い年代の方がいらっしゃいます。女性も男性もいます。

何らかの専門家であるとか、海外志向があるといった部分の共通項が当てはまる方が多いですが、そういうバックグランド的なものとまた別に、みなさん不思議なくらい「クライアント力」と言われるものが高いです。

みなさん、自分と真剣に向き合い一生懸命生きていて、自分を良い方向に変えたいと思っている、とても素敵な人たち。そして私の個人的な感触として、「能力の高さ」を感じる方が多いんです。分かりやすい言い方で例を挙げると「ああ、この人は仕事ができる人だなあ」とか「他人の気持ちがよく分かる人だなあ」とか。

もちろん、「コーチの目」でクライアントさんを見るので、そういう長所にばかり目がいくのかもしれません。

でもでも、ご当人たちは、私が感じているほどにはそういったご自分の能力の高さを分かってないというか、信じてないというか、そういう場合、多いんですよね。ま、だからコーチングを受けてるのかもしれなけど・・・

だから、「え〜〜、なぜ、そんなこと言う???こんなに素晴らしいのに!」みたいに思うこと、私、ほんとに多いんです。

とは言え、とは言え。要するにそこらあたりがコーチングの肝なわけですから、セッションの最中は「え〜、なんで〜〜??」なんてことは言いません(笑)。繰り返し書いてますが、私がどう思うか、じゃなくて、クライアントさんがどう思うか、なんで。

だからそこは重要なコーチング・スキルのひとつである「自己管理」をフル発揮して、クライアントさんがどう思うか、感じるか、てところを掘っていきます。「私の思い」はとりあえず、置いておく。

ただコーチン・スキルには「認知」や「賞賛」というのもあって、これもとても大事なスキルです。だからセッション中に私から見たクライアントさんの素晴らしさをちゃんとお伝えする、ということはします。

でも、セッション中はあくまで「コーチっぽい」感じで「私は○○さんの〜なところが素晴らしいと思うので、お伝えしますね」みたいに言う事が多いんです。

でも、ほんとはほんとは「え〜〜、だって、あなた、○○じゃない〜〜〜。だいたいXX でしょ?ほらほら〜、ね?なんでそんなこと言うん???」みたいな気持ちがどっかにある(笑)

言いたい!いっぱい相手に伝えたい!でも、ここで女子会ノリ(相手が男性でもノリ的には同じ。笑)で私がしゃべりまくって相手を説得しようとしてはコーチングにならん!ので、そこは自己管理、自己管理。

でも・・・心の奥底からホンキで湧いて来る言葉。伝えたい〜〜。でもこのまま伝えるとただの女子会〜〜。というジレンマがある時(こういうこと、多い^^;;)は、その日のコーチング・セッションがひととおり終わった後、「すみません、これコーチとしてじゃなくて、ただの女子会ノリの個人的な感想なんですけど(という言葉をそのまま使うかどうかは別として)言っていいですか」と前置き&クライアントさんの許可をとったあとで、

「あの〜、ぶっちゃけ、そんなに可愛いんだしいい子なんだし、全然問題ないよ!だからそんな男別れて良かったと思う!」とか
「そんなに能力があって実績もあるのに、な〜にをびびってるの?今度もうまくいくに決まってるでしょ」とか
「ごめんなさい、私、△△さんが出世することについて、実は全く心配してないんです。」とか
「もう若くないし、なんて、言うけど、私よりひとまわり以上も若いんですよ!!何言ってるんですか!!これからこれから!!何でもできます!!」とか

・・・・言っちゃいます。

言わないのは、私にとって「うそ」だからです。

ちなみに私のこういう感じの発言を、昔からの親しい友人は「出た!和泉節」と言ったりします。

そう、「和泉節」。実際、節を回してんじゃないかって、ってノリと勢いで言っちゃうんです。そうするとクライアントを「食っちゃう」。もうちょっと専門的な言葉で言うと「クライアントのスペースを奪ってしまう」。

コーチがクライアントを食ってどうするの?コーチがクライアントのスペース奪って何とする?自分の傾向と落とし穴、分かってるんで、自己管理、ああ、自己管理。

だけど「はい、今日のセッション、終わりです〜」ってなったとたんに、自己管理ボタンがぴっ、と飛んじゃったりする・・・・ことも、いまだに、(よく)あります^^;;

追伸:
てことで、「コーチの和泉」よりも「和泉節」を体験してみたい、という方。その旨、あらかじめお知らせしていただければ、そちらの対応も可能(笑)でございます。
(でも、「和泉節体験」の場合は、ごめんなさい、クライアントさんがしゃべる時間はほとんどないと思います・・・笑。)




posted by coach_izumi at 22:33| Coaching Skillsーコーチングの技術