2014年06月16日

APUワークショップ

日本帰国第5日目と6日目の週末は、大分県・別府にあるAPU(Asia Pacific University、立命館アジア太平洋大学)にてレゴ・シリアス・プレイ・メソッドを使ったワークショップを学生さんたちに向けて行いました。土曜日と日曜日それぞれ一回づつの計2回、今回は一回4時間かけ、使用するブロックも大量のブロックを使って行いました。昨年マンハッタンで行ったものと似た構成で、でもテーマやサブ・テーマを変えてデザインしました。

今回のワークショップは、APUの教育開発学習支援センターの准教授である筒井久美子先生と昨年から共同で行っている研究の一部として行ったもので、文部科学省が支援しているグローバル人材育成プロジェクトの一環でもあります。今回のワークショップそのものは、APUから学内助成金をいただいて実施しました(つまり通常の予算とは別枠で申請して学内審査を経て獲得した研究費ということです)。

だから、今回のワークショップは学生さんたちに貢献する、という意味合いはもちろんあるのですが、それよりはむしろワークショップに参加する学生さんたちに研究協力をしていただく、という形をとって行いました。

筒井先生と行っている研究は「グローバル人材育成における内発的動機付け(の重要性)」に関するものなのですが、今回助成金をいただいたのは論文執筆や将来的にAPU学外からの研究費獲得を目指すということが前提ですので、ワークショップの前後には参加者の学生さんたちに対して調査やインタビューを行います。学生さんたちの許可をいただいて(ちゃんと書面に署名してもらいます)、ワークショップの様子をすべてビデオ撮影しました。・・・てことで、久々の「研究者モード」。読み返すと、上記既述も、なんかカタい感じ(笑)。

ではあるのですが、ワークショップ自体は、そういうこととは関係なく、いかに参加者である学生さんたちに豊かで意義ある時間を過ごしてもらえるか、そしていかに彼ら(の人生)に貢献できるか、ということが何よりも大事。一回一回のワークショップが一期一会であるということを肝に銘じて、でも私自身が楽しむことを忘れずに、ファシリテートしました〜〜。


筒井先生と私は、昨今やたらと取りざたされている感のある「グローバル人材」という言葉と概念に違和感があって、特にお役所の文章に書かれているようなちょっと“ご大層”な感じの「グローバル人材」像に対して「グローバル人材って、みんながみんな、そんなに“立派”である必要ないんじゃないの?」という疑問を持っていました。そして「グローバル人材教育」イコール「英語教育(のみ)」という傾向にも疑問を持っていました。

私たち自身も留学経験があり英語を使って仕事をしてきたということでは、いわゆる「グローバル人材」の末席にいるのかもしれませんが、「いや、あの、若い頃、そんなリッパなこと考えて留学したわけじゃないんですよ・・・・^^;;」というのが正直なところ。お役所の文章に書かれているような「グローバル人材」像は、この歳になっている私たちから見ても、まるで「雲の上にいるような」人にしか見えません。

そんなもんを今時の学生に対して「さあ、こうなりなさい!」ってオトナが押し付けても、どうなんでしょ(うまくいかないでしょ?)。むしろ、そういった「立派な型」に押しつぶされたり翻弄されたり、っていう場合の方が多いんではなかろうか(これは普段学生と接している筒井先生が強く感じていることでもあります)?そりゃ、そういうのがしっくりくる学生も多いけど、そういう学生は逆に一人でどんどんやっていけるから、ほっておいてもいいんですよね。むしろそうじゃないけど、でも、自分の中に「グローバル人材」としての「種」を持っていてその種をどういうふうに育てていけばいいのか分からない、いわばグローバル人材育成の世界ではエリートとは言えない学生。そんな彼らが自分の好きなことや強みについての明確な自己認識を持つことを通して、「自分は」どんなグローバル人材になりたいか、といういわば自分仕様のヴィジョンを持つことができたら・・・(がんばろうという気持ちが内から湧き出ててきて学校のおべんきょうにも励み結果として英語の成績も上がるのではないか。なによりも、彼ら自身が充実した学生生活を送る一助になるのではないか。)そんな願いと仮説が、今回の研究&ワークショップ実施のきっかけでした。

実験的に、という意味もあり、土曜日と日曜日では若干ワークショップのデザインを変えてみましたが、共通しているのは学生さんたちが「自分が時間を忘れるほど好きなこと・夢中になること」をレゴで作り語りそれを「グローバル人材としての自分の将来像」のモデルを作り語るというプロセスに取り込んだことです。(このとき、レゴブロックで作ったモデルやそのピースの一部を、文字通りくっつけます。)

また、ワークショップの最後の方では「グローバル人材として今の自分」も作って語って、そのモデルと将来像をつなげることによって「現状→将来」へのストーリーを構築していったのですが、その際コーチングの手法を取り入れました。現状→将来へと道をつなぐ上で、今の自分の(モデル)のなかでさまたげ(あるいは欠けている)となっている「レゴブロック」のピースについて学生一人一人に、この(欠けている)ピースは、現在の自分の生活の中で何を指すのか問いかけました。すぐに回答が出てきた学生さんもいましたが、う〜んと考えこんだ学生さんもいました。すぐに回答が出てきた学生さんに対しては、では、そのことについて今日からとりくんでみませんか、という提案と、すぐに回答が見つかれなかった学生さんに対しては、それについて考えてみることを課題として持ち帰ってください、というように言いました。

みな、こちらがちょっとびっくりするほど、何かをかみしめるようにうなづいていました。

熊本大学でワークショップをしたときにも同じようなことを感じましたが、普段教員に対して(特に授業中^^;;)は、自分の考えや思いをそれほど多く語らない学生さんたちですが、このワークショップではみな私たちが驚くほど、「自分」を出してくれていたように思います。そしてそのことは参加者の学生さんたち自身も感想を述べる時に言ってくれていました。筒井先生の言葉を借りると「みんな、素晴らしいものを持っている」んですよね。

ワークショップのテーマうんぬんだけじゃなくて、そのことにも気がついてくれたんじゃないかな、あるいはそのきっかけがつくれたんじゃないかな、って自負してます。

ワークショップのあとは事後アンケートをとりました。さらに個別インタビューへと続きます。研究、論文執筆の道は長く険しい(笑)のですが、事後アンケートをざっとみた感じでは、今回のワークショップは、参加した学生さんたちに対して明らかにポジティブなインパクトがあったようです。

その詳細な検証も含めて、またアップデートしていきたいと思います。



posted by coach_izumi at 23:21| Workshopsーワークショップ

2014年06月15日

『紛争解決学・合意形成学の拠点形成』主催ワークショップ

熊本大学で行った3つのレゴ・ワークショップのうち、ふたつは熊本大学の拠点研究の一つである『紛争解決学・合意形成学の拠点形成』主催の一般公開ワークショップとして実施されました。ワークショップのタイトルは「レゴ・シリアス・プレイで問題解決の端緒をつかむ」というものでした。

熊本大学の大学院社会文化科学研究科には「交渉紛争解決・組織経営専門職コース」というものがあって、そこでは組織や地域における紛争解決・合意形成・組織/地域変革のプロを養成しています。今回そこのコース長である石原明子先生という方がレゴ・シリアス・プレイ・メソッドが面白そうだから大学院の学生さんや一般の方たちにも紹介してみたいと言ってくださって、色々とアレンジをしてくださいました。

もと同僚でもある石原先生はワークショップ当日は以前から決まっていた出張のために同席していただけなかったのですが、そのかわりに大学院の学生や事務の方を通じて全て手配していってくれました。私も10年間も働いた「勝手知ったる」職場ということで、心配はしておりませんでしたが、それでも色々と前もって全てアレンジしていただいたのはとても助かったのでした。

ワークショップの主催者であるその先生の冒頭の挨拶でワークショップ開始、というのが本来の流れであるということで、なんとその石原先生は「挨拶文」を残していってくださったのです。ワークショップのお手伝いをしてくれた大学院生さん(中国からの留学生さん)が読み上げてくれた配布文章があるのですが、今回のワークショップの狙いや性質というものが分かると思うので、一部以下に抜粋します。

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紛争解決学では、「対立や葛藤や問題には、未来がより良くなっていくための重要なチャンスと知恵がつまっている」と考えます。対立や葛藤や問題から出発して、より良い未来に変化していくために大切なものの一つが創造性で、そのために、アート(工作や創作活動)は紛争解決や問題解決でも、多用されます。
 本日はその一つの方法として、船山先生による『レゴ・シリアス・プレイ』の入門をお楽しみいただけましたら幸いです。
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今回のワークショップについてアメリカー日本でスカイプミーティングをした時に石原先生と、どのようなお題目でレゴのモデルを作ってもらおうか、ワークショップの最終プロダクトはどのようなものにしようか、などなどについて、(お互い懐かしいので近況報告のおしゃべりに花を咲かせつつも。笑)活発に話し合いました。そして、「現在参加者が抱えている葛藤や問題についての現況」「解決した状況」について、レゴブロックでもモデル作り、語り、そのふたつのモデルを統合し、現況−解決した状況へとつながるストーリーを作り、語る、といった段取りで進行することになりました。

こういうテーマでワークショップを行ったことはなかったので「うまくいくかな?」と少しどきどきしていましたが、実際にやってみると、私としては予想以上のものが生まれて出てきた、という感覚でした。

それぞれの人が抱えている葛藤や問題。それがたった数時間のワークショップで解決するわけもないし、具体的な解決策が決まる、ということでもありません。ただ、参加者の多くが言ってくれたように、それまで「もやもや」としていた「嫌な状態」が果たしてそもそもどのようなことなのか、ということを自分の手をつかって「カタチ」にするということは、解決への道筋の必要不可欠かつ重要な第一歩となります。葛藤や問題があるとき、果たして「何が」「どう」問題なのか、ということについて実は明確ではない場合が多いからです。そして「解決した状態」をレゴブロックで作りそれについて語るというプロセスを通して、まず「実は自分が望んでいる“解決状態”とはこういうものだったのだ」ということが明確になると同時に(モデルを作る前にぼんやりと想像していた「解決した状態」と、モデルを作った後に“カタチとして見えてきた”「解決した状態」ことが、必ずしも同じようなこととは限らないのです。)、「カタチ」として作り出せる&見える=実現可能である、という思考・見方につながっていきます。さらに「現況」と「解決した状態」が「つながる」カタチを作ることによって、「こういう風に行けばいいのか」といった、道過じやヒントが見えてくる、まさしく「問題解決の端緒をつかむことが可能となります。

それが新しい発見である場合もあれば、確認あるいは確信へとつながる場合もありますし、今までなんとなく「こうじゃないかな」と思っていたこととはむしろ相反することであったりもします。今回のワークショップに参加してくださった方たちの中にも、色々なパターンがありました。

そしてそういった「解決実現」の思考・見方をまず最初に有することによって、(ワークショップのあとということになりますが)、「解決実現」のための具体的な行動や手段をとる、という段階へと進むことが可能になるのです。

どういったことが「解決の端緒」となり得るかというのは、本当にケース・バイ・ケース、参加者や彼らにとっての「葛藤」や「問題」によって様々だなあ、ということも実感したのですが、そのバラエティの例示として、参加者の方の発言を以下数例挙げると(詳細は少し変えています);

「こうしてカタチになったのを見ることで、“自分にはできるんだ”という自信になった」
「やっぱりこうなるのが一番良いのだということがあらためて分かった」
「問題だと思っていたことが実は問題じゃなかったということが分かった」
「どちらの道を行けば良いのか悩んでいたけれど、結局どちらの道を行ってもたどりつきたい望んでいる結果につながるのだということが分かった。」
「すっきりして安心した」
「自分はあせっていたんだなと思った」
「あっちかこっちかと思っていたけど、両方必要で大切だということが分かった」
「やり方を変えないといけないと思っていたけど、今のやり方をもっと極める方向で行きたいと思っているということ分かった」

などなどです。

毎回毎回思う、そしてこうして言葉にしているのですが、参加者の方の洞察と創造性にはいつも驚きます。正直に言って、ワークショップの前はいつもちょっと不安なのですが(特に今回のように初めてのお題目だったりすると!)いつもワークショップのかなり最初の方でその不安は吹き飛び、ワークショップのなかば〜最後にかけては、一人心の中で密かに感動しています。「へ〜、そういうのが、出てきたんだ〜」と、「へ〜」ボタンを連打したい気持ちになります。人間が手で思考するって、すごいな。そして、やっぱりこのメソッド(=レゴ・シリアス・プレイ・メソッド)、パワフルだな〜・・・・って、思わなかったこと、今まで一度もないです。




posted by coach_izumi at 09:53| Workshopsーワークショップ

2014年06月13日

「コミ情」の学生たちとの再会

帰国第三日目は、古巣の熊本大学で3つレゴ・ワークショップしました。12:50分から始まって、なか1時間ほどの休憩がありつつも、9時半までのぶっ通し。時差ぼけもあり、さすがにさすがに疲労しました。でも参加者の学生や一般の方が、それまであいまいだった思考や思いをカタチにすることによる、いわゆる「a-ha!」体験をされているのを目の前にするのはたまらない充実感、快感です。そして何よりも、ワークショプの最後に「楽しかったです!」と言ってもらえるのが、ほんとに嬉しかった。はるばる梅雨の熊本まで来たかいがあったよ〜、って感じ。

最初の一本目は、私が教員として所属していた「文学部コミュニケーション学科」(通称「コミ情」)の学生たちに対して。大学の授業時間に合わせて「ひとコマ分」すなわち1時間半でのワークショップはこれまでの最短。新たなチャレンジでしたが、参加人数を5人に制限するなどして、なんとかやりきりました。

そしてそして、コミ情から参加した学生たちは、みな1年生のときに私が教えていた学科必修の授業を受講した学生たち!!「船山先生〜」と明るく呼びかけられ、「あ〜〜!!!!・・・・・・ごめん、顔分かるけど名前分からない」という失礼な私にみんな、おおらかに名乗ってくれました。

中には今度アメリカ留学するという学生もいて、その学生は、実は昔私がある推薦状を書いたこともあったのです。「あれからも、がんばったんだね〜」と感慨ひとしお。ニューヨークも行きたいです!というその学生に「ぜひぜひうちにもおいで」と、軽々しく誘う私(笑)。「あ、でもうちに来たら息子がまとわりつくから相手しないといけなくなるよ」との警告(笑)にも「ぜんぜんだいじょ〜ぶです!」との明るい答え。ま、実態を知らないからかしらん(笑)。

時にちょっと緊張気味の学生に「大丈夫。もう成績つけるわけじゃないんだから」などと言うと、実際リラックスした様子。

今はもう「先生」じゃないけど、こうやってまた別のカタチでかつての教え子に貢献することができたのは、かなり嬉しかった。そして「またいつか会おうね」と声をかけて別れました。

実際に再会できる学生は、実はほんのひとにぎり。でも、「いつか会いましょう」というその気持ちを持てたことがやっぱり嬉しかった。

ちょっと先生という職業が懐かしくなった、そんなワークショプそして再会ででした。

posted by coach_izumi at 00:09| Workshopsーワークショップ